岐阜高校
岐阜高校同窓会

2021.08.24
小野田志津代の挑戦

「空」鶴川にて

『その先へ』

~今在るところからの挑戦~
彫刻家・小野田志津代(旧姓安藤)

創造は挑戦の連続

一八才で武蔵美の彫刻科に入ってから今まで四三年、目の前にあるのはいつも創造しかなかった。

大学院・研究室まで七年間人体塑像に打ち込んだ基礎が今に生きている。人体には宇宙の原理全てがあり、彫刻作品にするには厳しい目と、デッサンと、構築の研究が必要不可欠であった。彫刻の基本は全て人体塑像から学んだ。

大学を去り、結婚と共に一年間だけ日本生産性本部で講演内容を冊子にまとめる仕事についたが、その後子育てを経てまた彫刻制作へ。彫刻家としては遅い出足ではあったが、多くの尊敬する先輩方のいる自由美術協会に出品を始めた。数ある日本の公募展団体の中でも、自由美術は柵もなく上下関係もない。毎年大作を六本木の国立新美術館等、広い美術館で展示できる魅力があり今に至っている。他の素材も試してきたが、現在では木彫が中心である。

「潮音」岐阜極小美術館

今まで安泰な制作などは無かったし、もちろん創作そのものに男女の差もない。しかしどんな状況で生きてきたにせよ、感性と経験は誰もが唯一無二のものを持っている。今まさに、生まれてから今までに至る環境に深く恩恵を感じながら制作を続けている。

「風が吹く」京橋ギャラリーアートポイント

私は特定の宗教は持たないが、木に対峙して制作する事は霊的な体験であり、生まれる以前の体現をしている作業にも思える時がある。単なる思いつきではない、永遠にも繋がる形を生み出すことが私の制作である。木彫制作は木の性質に引っ張られるが、自分の意思がその方向を決定する。究極の遊びは真剣そのものである。

今在るところからのその先。毎瞬がその追求だから終わりは無い。

「風の記憶」東京・国立新美術館

コロナ禍のこの一年余りは大きな展覧会も無く、海外での展示にも参加できない状況が続いているが、創る手は止まらない。創り続けることで新たに繋がるものがあると感じている。

六一歳。
彫刻について、やっと少し何かがみえてきた。

ここからが私の挑戦。ここから新しく何が出来るのか、わくわくしている。

Shizuyo Onoda

自由美術協会会員・立体部事務局

「縄文の風」北青山ギャラリーコンセプト

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