古往今来

2023(令和5)年1月

第4話 ■創立100周年の記念歌

1973(昭和48)年の創立100周年には「百周年記念歌」が作られました。校史資料室には、鉛筆で手書きされた楽譜原稿が保存されています。(写真は前奏と歌の冒頭部分です)

 岐阜新聞に連載された『岐高百年史』の第194話(昭和48年3月15日)には、「入選作決まる岐高百年祭の記念歌」の記事が添えられ、詩と曲を在校生に募集したことと、記念歌の歌詞が載りました。
 百年祭を終えて間もない頃に作成された『岐高百年祭実施記録』には、1972(昭和47)年度在校生から詞を募集し、入選作に対して曲を募集した経緯が詳しく記されています。

 〔作詞〕 応募期間:11月20日~1月15日 応募数:16編(16人)
  審査員:各務虎男・殿岡辰雄・森山正元・飯尾誠太郎・後藤恭一
  入選は守安隆,佳作は3人 表彰式:2月27日
 〔作曲〕応募期間:2月20日~4月15日 応募数:39編(28人)
  審査員:岩田志ん・大前保男
  入選は白川浩,佳作は2人(伴奏譜は森崎貴敏)  表彰式:6月28日

『岐高百年祭実施記録』にはまた,〈式典次第および経過〉が記録されており、そのうち百周年記念歌を紹介する場面を抜粋して引用します。

「百周年を記念して、昨年本校生徒から作詩、作曲を募集し、作詩は16編,作曲は39曲ありました。作詩についての審査は、本校を卒業され、現在岐阜市立女子短期大学の学長をなされておられます各務虎雄先生と、本校旧職員の殿岡辰雄先生にお願いし、その結
果、本年3月の卒業で現在京都大学工学部1年の守安隆君が入選しました。作曲の方は、本校を卒業され、皆さんご存知の岩田志ん先生に審査をお願いし、同じく本年3月の卒業生で、現在東京大学文科Ⅰ類1年の白川浩君が入選しました。ただ今より、本校生徒60名による記念歌の発表を行います。」

 この楽譜を作曲者である白川浩氏に見ていただいたところ,「初めて見るものですが、内容に間違いはありません」、「これは多分先生が編曲されたものと思われます」とのことでした。当時のことについては,「昭和48年の3月に守安君(友達です)の詞に曲をつけて応募しました。その後高校より『私の曲に決定したので球技大会の日に表彰するから来るように』との連絡を受けて6月に行きました」とのことでした。
 作詞者である守安隆氏に面会してお話をうかがいしました。守安氏は「元々文章を書くのは苦手でなく、あるとき短編を書いて国語の教科担任の先生に見せたこともありました」、「でも、曲をつけて歌にするための詩を作ったのは、この時が初めてで、その後もないです」とのことでした。

  緑の大きな樹 風雨をきざむ でっかい幹
   この下に立って考える 長い長い道を
  未来にのびる枝 五月の風に 揺れる若葉
   この下にすわって夢みる あしたの青空
  広がる太い根っこ 大地をつかむ かたい根っこ
   この根っこに手をふれて思う 百年の歴史を

守安氏は,「今回の取材で久々に読み返しました。在校生として創立100年を迎える岐高という大きな樹のもとで、くつろぎ思いを馳せる自身をイメージして書いたのだと思います。あれから50年を経て自身も老木になりましたが、若人がくつろぎ未来に思いを馳せる樹になるには、まったく修養が足りませんね」と苦笑されていました。

参考文献:「岐高百年祭実施記録」(昭和48年12月)


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